広報担当者なら押さえたい! 正しく伝わる文章の書き方とは

広報担当者なら押さえたい! 正しく伝わる文章の書き方とは

資料作成やメール、SNSなど、公私ともに文章を書く機会は多いと思いますが、いかにわかりやすく相手に伝わる文章で書くかは、どのような仕事でも意識したいことです。

ましてや広報担当者は、会社の顔です。
会社の公的な文章として広報担当者が書くプレスリリースやファクトブック等の日本語が間違っていたり、伝わりにくかったりすると、どんな印象を与えるでしょうか。企業としての信頼が揺らぎ、記者は取材をしていい会社かどうか不安になってしまうでしょう。

本記事では、元新聞記者の筆者が、広報担当者として正確でわかりやすい文章を書くための3つのコツを紹介します。

美しい文章より、正確でわかりやすい文章を

筆者は大学卒業後10年以上、地方新聞社で記者や編集レイアウトの仕事をしていました。
一般紙の記事は小学生からお年寄りまで誰でも理解できるように書くのが鉄則です。
「この書き方で、誰が読んでもすぐに理解できるだろうか」「この表現は誤解を生まないだろうか」。
たった10字×30行の短いお知らせ記事でも、100行のルポでも、言葉を選ぶときは慎重でした。

伝わる文章を書くうえで文学的なセンスは必要ありませんが、言葉の選び方には、その人の性格や仕事のセンスが表れるともいわれます。基礎的なスキルとして、できるだけ語彙力や文章力を磨いておきたいところです。

正確で伝わる文書の書き方

書き方のコツ(1)「抽象的な表現を避ける」

1つめのコツは「抽象的な表現を避ける」です。

みなさんはリリースなどで「さまざまな」「いろいろな」「たくさんの」など、抽象的な言葉を使っていないでしょうか。
次の文章を読んでください。

この新サービスをさまざまな人に活用いただきたいと考えています。

書き手はどのような方に使ってもらえるかイメージがわいた状態で書いているかもしれませんが、読み手には全くイメージがわきません。ターゲットが多く何か一つか二つ例に挙げるのは良くないと考えている、もしくは言語化できていない場合にこのような抽象度の高い表現になりがちです。

この新サービスを共働き夫婦や一人暮らしのお年寄りに活用いただきたいと考えています。

このように二つほど具体的に書くだけでサービス活用のイメージがぐっとわきやすくなります。

ちなみに「共働き夫婦や一人暮らしのお年寄りなど」といったように「など」を入れなくても「○○や○○」と書くだけで他にも例があることがわかります。
不必要な単語を省略すれば文章をすっきりと読みやすくできますので、「など」も多くなり過ぎないように気を付けたいですね。

書き方のコツ(2)「不要な接続詞を省く」

2つ目は「不要な接続詞を省く」です。

以前ある寄稿記事を添削していたとき、「一方で~」「たしかに~」「とはいえ~」「だが~」と一文ごとに接続詞が使われていました。前の文章の否定や強調が繰り返されて、内容が頭に入ってきにくく、そのときは最低限必要なところ以外は接続詞を削除しました。

<例文>
以前はオフィスで従業員と顔を合わせて働くのが当たり前だった。でも今はほぼ毎日自宅で働いている。

<修正後>
以前はオフィスで従業員と顔を合わせて働くのが当たり前だった。今はほぼ毎日自宅で働いている。

修正後の文章に「でも」はなくても意味が通り、すっきりと読めるのではないでしょうか。

書き方のコツ(3)「符号の使い方を工夫する」

3つ目のコツは、「符号の使い方を工夫する」です。

意外と知られていませんが、新聞などでは「」(カギカッコ)を、いわゆる○○(実はそうではない、正確な表記ではない)という意味で使います。

「働き方改革関連法」は略称ですが、正式名称の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」だと長くて読者もわかりにくいため、いわゆる働き方改革関連法という意味で、カギカッコを使用しているのです。

プレスリリースの見出しを短くキャッチーにしたいとき、正確な表記ではないがわかりやすい言葉を使いたいときも、「」を使うことをおすすめします。

客観的な事実かどうかわからないことを、誰かのコメントとして「」でくくり紹介することで、事実ではない場合も逃げることができます。
もし自社と共同でリリースを出す取引先企業が「業界初の取り組み」「国内初」と言っていてもそれが正しいか確信がもてない場合は、

A社によると「業界初の取り組み」という。

と書けば、あくまでA社が言っていることだというニュアンスになります。

驚きや勢いを伝えようと「!」を多用し過ぎたリリースも散見されますが、読み手は内容次第で自ずと驚きを感じることができます。「!」が多すぎると読み手が興ざめしてしまいますので、ここぞというところにだけ使うことをおすすめします。

 

企業として、人として信頼を得るために文章力を磨こう!

今回はコツを3つだけ紹介しましたが、他にも

・リード文にニュース性の高いキーワードがすべて入っているか

・ポイントがわかりやすい構成になっているか

・文章の主語や係り受けがわかりにくくないか

・無意識のうちにくだけた口語表現を多く使っていないか

・体言止めが多く読み手のリズムを乱していないか

など自分の文章の課題や癖を分析しながら、サービスや業界に適した書き方にブラッシュアップするとメディアの目に留まり取材獲得の確度が高くなります。

 

記者時代、報道用資料にあきらかな誤植が目立つ企業は、取材を避けるようにしていましたし、文章がわかりにくかったり日本語の使い方に誤りがあったりするような場合も、その企業が正確な情報を発信しているか不安になり、印象は悪くなりました。

正確でわかりやすい文章を書けるようになれば、相手の誤解を生んだりネガティブな印象を与えたりすることなく、企業として、そして人として信頼を得ることができるのではないでしょうか。

先日広報の方にリリースの文章の書き方をアドバイスしたあと「コツがわかって速く書けるようになった」「書くのが楽しくなった」といった感想をいただきました。メディアからの印象が良くなり取材獲得の成果が上がるだけでなく、みなさんの業務が効率化でき、たのしく書けるようになれば筆者も嬉しく思います。

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ベンチャー広報では、広報担当者向けの文章講座を開催しています。

本稿の筆者である堀北が、企業や担当者の課題にあわせてマンツーマンで文章指導をするオーダーメイド型の講座です。

ご興味ありましたらお気軽にお問い合わせください。

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記事の執筆者
堀北 未来
堀北 未来
シニアPRコンサルタント・マネージャー

大学卒業後、地方新聞社の記者として取材や編集レイアウトを約10年間経験した後にPR業界に転身。自治体、省庁関連団体、人材コンサルティング、電子機器メーカー、証券など上場企業から中小・スタートアップ、行政まで幅広い業務を担当し、ベンチャー広報に入社。教育問題や地域活性化、働き方にからめたPRで全国メディアでの報道実績が多い。

堀北 未来
記事の執筆者
堀北 未来
堀北 未来
シニアPRコンサルタント・マネージャー

大学卒業後、地方新聞社の記者として取材や編集レイアウトを約10年間経験した後にPR業界に転身。自治体、省庁関連団体、人材コンサルティング、電子機器メーカー、証券など上場企業から中小・スタートアップ、行政まで幅広い業務を担当し、ベンチャー広報に入社。教育問題や地域活性化、働き方にからめたPRで全国メディアでの報道実績が多い。

堀北 未来