スタートアップのためのPR会社
ベンチャー広報です。
今回は、永遠に交わることのない部門と思われがちな広報とマーケティングについて、お話できればと思います。
事業会社の広報担当者だった頃、マーケティング部門の担当者と定期的にミーティングを実施していたのですが、毎回バッチバチにぶつかっておりました。「情報発信」という手段を用いて活動するのは同じなのですが、届け先が違うだけでこんなに喧嘩するとは…。
最近は「広報とマーケティングを兼務しています!」というPRパーソンも増えていますよね。正直、羨ましく見ています。両方を担当できれば、様々な視点から情報発信ができますから。
ということで、今回は広報とマーケティング、それぞれを意識した活動をすることでどのような良いことがあるかをテーマに語ってまいります。
1)広報とマーケティングの相互理解を深めよう
広報とマーケティング、それぞれのミッションを知りましょう!
<広報部門>
広報部門は企業と社外の接点をいかに増やしていくか、信頼関係を構築するか、そして会社やサービスをどう知ってもらうかなどが、ミッションとして与えられています。
媒体を通して、その先にいる人々に伝えることが最重要課題になるため、各種のメディアを意識した活動が中心です。メディア露出を積み重ねることで、企業に大きなメリットをもたらすため、短期的な指標よりも中長期的な指標で、成果を創出することが求められます。
<マーケティング部門>
マーケティング部門は、市場調査を元に企業のポジショニングや新商品の開発など、売上の向上やユーザー獲得に紐づく成果がミッションです。
広報と比較すると短期間で成果が求められることも多く、細かな数値設定などが必要とされるので、費用対効果が予測しやすい「広告」の活用はマーケティング部門で担っていることも多いです。
お互いのミッションや指標としているもの、期間などに、大きな違いがあることがわかります。
広報は報道の積み重ねや連鎖により成果を最大化することを意識しており、マーケティングは費用対効果や短期的な成果を意識しています。こうした違いを把握することで、「お互い大変だからこそ、連携することで成果を最大化しよう!」という、意識が持てるのではないでしょうか。
ここで注意していただきたいのが、「広報の指標でマーケティングの成果を評価しない」「マーケティングの指標で広報の成果を評価しない」ということです。
お互いの指標で評価をするから、ギクシャクしてしまうのです。広報とマーケティングが連携して成果を上げる場合は、新たな指標を設定しましょう。
2)なぜ双方を意識した活動が必要なのか
A.人々の情報収集の手法がSNSに集中し始めた
コロナ禍で、人々の情報収集の方法が様変わりしました。広報担当者がコンタクトを取りたいメディア関係者は、これまでもインターネット上で情報収集を行ってきましたが、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で情報収集することが増えたようです。
ベンチャー広報で実施している、メディア関係者をお呼びしたセミナーで必ずいただく質問があります。それは、「コロナ禍でどうやって取材のネタを探しているのですか?」というもの。
ほぼ100%の確率で、メディアの方たちはSNSを活用して情報収集していると回答されます。これまでは電話でアポをとって情報提供するのが当たり前でしたが、これからは広報担当者もSNSを活用したコミュニケーションが重要となります。
そうなると「SNSにおけるコンテンツ作り」が大切になるのは必然的です。マーケティング部門はコンテンツ作りもマーケティング活動における重要なポイントとして扱っているため、マーケティング部門が持つノウハウを広報部門にも共有してもらうことが大切です。
B.メディア目線のマーケティングも必要
これは、マーケティング部門の方に意識していただけると嬉しい視点です。マーケティング部門では、ユーザー獲得、お問い合わせ獲得、売上向上など、シビアな達成目標が掲げられていて様々な施策が行われています。
サービス導入や商品購入時、「メディアに掲載されているから」「メディアで紹介されて、安心して使えそうだから」といった理由で、購買の決定要素となることがあります。なので、記事広告などの広告活用を、マーケティング部門が担うことも多くありますが、広告だけに頼らない発信も重要です。
ターゲットにダイレクトに情報を届けることはもちろん重要ですが、ターゲットがチェックしているメディアを意識したキーワード作り、ストーリー作りも意識してみてください。
これらを意識することで、効果的なマーケティング活動や広告出稿などにつながる可能性が高まります。この、「メディアを意識したキーワード作り、ストーリー作り」は広報部門がノウハウを持っています。
広報とマーケティングが持つそれぞれのノウハウを連携することで、情報発信の幅と奥行きが広がり、成果の最大化が期待できるわけです。
次回は、「広報とマーケティングが連携するためにしておきたいこと」についてお話しします。