「プレスリリースは見てもらえましたか?」の電話は、百害あって一利なし

「プレスリリースは見てもらえましたか?」の電話は、百害あって一利なし

スタートアップのためのPR会社
株式会社ベンチャー広報
代表取締役の野澤直人です。

私は声を大にして言いたい!

プレスリリースを送った後に、「先日、プレスリリースをお送りさせていただいたのですが、見てもらえましたでしょうか?」と、編集部に電話をかけるのは、やめましょう!

私が、以前、出版社であるビジネス誌の編集の仕事をしていた時のことです。その編集部には、郵送やFAXで毎日50件以上、多いときには100件以上のプレスリリースが送られてきました。熱心な企業の広報さんやPR会社さんからは、電話もかかってきました。

「わたくし、○○○会社の広報を担当しております△△△と申します。お世話になっております。昨日、×××に関するプレスリリースをお送りさせていただいたのですが、見てもらえましたでしょうか?」

当時は、アルバイト等も含めて編集部には常時、5,6名のスタッフが働いており、その会社のプレスリリースは誰が受け取って、どう処理されたかについて、全てのスタッフが把握しているわけはありません。そこで、電話を受けた編集部員の対応はこうなりました。

「送って頂いたのなら届いていると思いますが… ちょっと、誰が受け取ったか私は把握してないもので。必要があれば、こちらから取材依頼などのご連絡させていただきます。念のためもう一度送って頂けますか。」

ちなみに、プレスリリースが編集部に届いた場合、大別して、以下のように処理されることが多いです。

  • Aランク(1%以下):ちょうど今探している情報に合致。取材依頼の電話をかける。
  • Bランク(10%程度):今は必要ないけど、将来的に使えそうなので、机の中かファイルに保管。もしくは、興味を持ちそうな他のスタッフに渡しておく。
  • Cランク(90%程度):使えない内容なのでボツ。ゴミ箱に直行。

当時、私は編集長のポジションでしたので、毎日、全てのプレスリリースには目を通して、情報のバリューを判断し、前述のようなアクションをルーティンとしていました。

そういった作業をしている編集長なりデスクのポジションの方に、たまたま電話がつながればいいですが、そういうことは稀です。基本的に、外線の電話は、受付とかアシスタントがとりますので。

つまり、「プレスリリースを見てもらえましたか?(電話)」は、広報PRをしたい側にとっては、偶然が重ならない限り、無駄なアクションなのです。一方で、編集部側では“仕事の邪魔をする迷惑な電話”と、感じる可能性が非常に高いのです。

この電話をして、取材につながらないだけなら、単なる時間と労力の無駄で済むのですが、残念ながら、最悪なリスクを秘めています。比較的小規模な編集部ですと、こういった迷惑電話をしょっちゅうかけてくる企業やPR会社の名前は覚えてしまいます。つまり、ブラックリスト入りです。ブラックリスト入り会社のプレスリリースは、当然見なくなります。無論、取材をすることもなくなります。

皆さま、くれぐれもお気をつけくださいませ。

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記事の執筆者
野澤直人
野澤 直人
代表取締役

大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上を取材。その後、海外留学関連のベンチャー企業に参画し、広報部門をゼロから立ち上げ、同社の急成長に貢献する。2010年に株式会社ベンチャー広報を創業。以来10年間でクライアント企業は400社を超える。著書に『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)。

野澤 直人
記事の執筆者
野澤直人
野澤 直人
代表取締役

大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上を取材。その後、海外留学関連のベンチャー企業に参画し、広報部門をゼロから立ち上げ、同社の急成長に貢献する。2010年に株式会社ベンチャー広報を創業。以来10年間でクライアント企業は400社を超える。著書に『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)。

野澤 直人