企業出版を実現する方法は?企画書に書く12項目
企業出版

企業出版を実現する方法は?企画書に書く12項目

最近、ベンチャー・スタートアップ企業の経営者や広報担当の方から出版について相談を頂くケースが増えてきています。

「ベンチャー・スタートアップ企業でも出版ができるのか?」「どのように進めていいのかわからない」「社長から本を出したいと言われたがどうしたらいいのか」など、質問が多く寄せられます。

広報PRに関する本にも企業出版の方法については書かれていないのが現状です。そこで今回は、企業出版の流れと企画書の書き方を解説します。

企業出版の流れ

企業出版の流れは、企画書の作成、出版社への提案、書籍の執筆・編集、印刷・装丁・発行準備の大きく4つの工程にわかれます。

企業出版をしようと企画書を作りはじめてから書店に書籍が並ぶまで、長い場合だと1年弱から2年程度かかるケースもあります。

弊社で企業出版のプロデュースをする場合のスケジュールをもとに、スケジュール例をご紹介します。

①企画書の作成(約1か月)

企業出版で作る書籍の内容は「書きたいこと」ではなく「読まれること」にしましょう。伝えたいことや書きたいことを、読者や社会の役に立つ情報に変換して企画書を作成していきます。

詳しくは次の章で解説します。

②出版社への提案(約2か月)

企画書ができたら出版社への提案です。ここでは、出版社探しと編集者への提案の2つのステップにわけて説明します。

(1)出版社を探す
出版社は企画のジャンルや読者ターゲットに合う会社を探しましょう。広報パーソンの皆さんなら、媒体研究をしていると思いますので、イメージがつきやすいのではないでしょうか。

同様に、大手~中堅出版社のWebサイトやAmazonなどのECサイトから、出版情報をリサーチします。また、書店に行って関連書籍を探すこともその一つです。

書籍の場合は、奥付に編集者名や連絡先も記載されていますので参考にして下さい。出版社は1社だけではなく、できる限り複数の出版社をピックアップしましょう。

その中から優先順位を決めて1社ごとに、編集部にアポを入れます。なかなかコンタクトがとれない場合もありますが、広報活動同様に根気強くコンタクトをして下さい。

どうしてもコンタクトがとれない場合は、手紙を添えて企画書を郵送するのも意外と有効です。

編集者は多くの企画案件を抱えています。企画書を送っても連絡がないのは、興味がなかったと受け止めてあきらめ、次の候補出版社に連絡をしていきましょう。

(2)編集者に提案する
編集者とコンタクトがとれたら、編集者の指示に従い、面談や企画書の送付をします。極力、面談の約束をとり、編集者へプレゼンできるようにしましょう。ここが第一関門となります。

企画書を提出すると、編集者は書籍のタイトル案やコンテンツの項目を見て出版の可否を判断します。

特に商業出版(出版社が書籍になるまでの費用を負担する方法。印税形式)の場合は、かなりハードルが高く、何度も企画内容の修正や加筆を繰り返し、やっとOKになることが殆どです。

粘り強く作りこんでいきましょう。

企画が通れば、編集者がその分野でどの程度販売部数が見込めるのか、市場調査を行います。対象読者数や世の中で関心があるテーマなのか、採算がとれるのかなどを判断します。

この調査をもとに、社内根回しから編集会議に提案します。出版社は年間発行数を計画して書籍化しています。編集会議に通ったら、役員決裁をとり、出版企画が決定となります。

③書籍の執筆・編集(約6か月)

企画が決定したら、執筆・編集作業に入ります。編集者と打合せ後、刊行までのスケジュールに沿って原稿執筆に入ります。

この場合、著者自身が執筆されると多くの方が思っていますが、そうとは限りません。ライターが著者にインタビューをして、原稿を作成するケースも多くあります。

特に企業出版の場合は、売れる本のコンテンツは求められる原稿のハードルが高く、また、社長自身多忙でなかなか執筆まで手が回りません。

出版社には、数々のプロのネットワークがあるので編集者と相談しながら進めていきましょう。原稿が完成したら、編集者が最終確認をして原稿の責了となります。

④印刷・装丁・発行準備(約3か月)

コンテンツによって、デザイナーにより体裁、デザインを進めていきます。校了後、編集者と書店営業の担当者、関係者と最終発売日を決定し、発売日に書籍が店頭に並びます。

+α 書籍PR

企業出版は④までで完了しますが、出版した書籍は広報PRのネタになります。書籍を切り口にしてたくさんの取材を獲得して、効果を最大限に引き上げていきましょう。

書籍PRについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

出版企画書の作り方

次に、出版企画書の書き方について解説します。前述のとおり、企業出版で作る書籍の内容は「書きたいこと」ではなく「読まれること」にするのがポイントです。

「出したい本」ではなく「売れる本」を企画する

伝えたいことや書きたいことを、読者や社会の役に立つ情報に変換して「読まれる本=売れる本」の企画書を作成していきます。

企画書といっても、Power Pointで数十枚にわたるような分厚いものである必要はありません。書籍の企画書の場合は、企画概要と目次をまとめるイメージで、WordやGoogleドキュメントなどで十分です。

ボリューム感としてはA4版2枚程度でいいでしょう。

出版企画書に必要な12項目

①仮タイトル
出版の際には変わることがほとんどですが、「買いたくなる」「興味を惹かれる」ような書籍のタイトルを考えましょう。

②仮サブタイトル
タイトルと同様です。

③キャッチコピー
書籍の帯や、タイトル・サブタイトルに加えて表紙に掲載するフレーズです。

④著者名
企業出版の場合は代表の名前で出版することが多いです。

⑤著者プロフィール
経歴だけでなく、著者と企画のテーマの関連性や必然性がわかるように書きましょう。

⑥企画概要
書籍の内容を100~200文字程度に簡単にまとめます。

⑦企画背景(なぜ、今なのか?)
世の中にある問題点や社会課題を踏まえ、この本を出そうと思ったのか。
「何が解決できるのか」「なぜ、この本が売れるのか」を明確にします。

⑧読者ターゲット(誰の役に立つのか)
どんな読者を想定しているのか、どんな人の悩みや困りごとに役に立つのかを記載します。

⑨類書
類書を調べて書き出します。

⑩類書との差別化
類書と何が違うのか、差別化できる強みを押し出します。

⑪目次案
目次を見て、何が書かれるか、何がわかるのかがはっきり伝わるように書くのがポイントです。

⑫見本原稿
過去の寄稿記事やブログ記事など、企画に近いテーマの記事があれば見本原稿として企画と一緒に共有します。

企業出版の企画の種は今から蓄積する

企業出版には時間がかかることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

すぐに出版を検討していなくても、いつか書籍を出版したいと考えているのであれば、今から準備をしておくとスムーズに出版に向けて動くことができるのでおすすめです。

その一歩として、書籍として紹介できるコンテンツを蓄積しておきましょう。

企業出版の場合、著者は社長となるケースが大半です。

社長の生い立ちから学生時代、社会人時代から起業に至った経緯や理念。起業後の事業にまつわる事、特に事業で社会問題を解決できる取組みや自分の考えを日々まとめておきましょう。

ブログやnoteでの記事執筆もおすすめです。もちろん、日々の広報活動で獲得しているメディアでのインタビューや寄稿記事。その他、セミナー登壇の資料などもコンテンツ材料になります。

まとめ

今回お伝えしたいのは、 「売れるコンテンツ」があれば自力で書籍化は実現できます。とはいえ、ただ経験や人脈もないため、トライ&エラーを繰り返し、多くのコストや時間がかかる可能性も高いです。

星の数ほどある出版社からどこを選ぶのか。私の経験では、経験豊富な編集者に出会えるかが、企業出版を成功させる最大のポイントとなります。

日々の広報活動で手が回らない環境でしたら、弊社のような企画をプロデュースするプロにまかせる手もあります。
https://www.v-pr.net/service/book_produce/

将来的にでも書籍出版を検討している方や、この記事でもう少し詳しく知りたいと思われた方は、ぜひこちらから三上までお気軽にご相談ください。

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記事の執筆者
三上毅一
三上 毅一
シニアPRコンサルタント・書籍プロデューサー

学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学/地域活性と事業構想の特別講師。2019年より広報初心者のためのオンラインサロン「ゼロイチ広報」講師。PR業界歴40年。上場企業、中堅・ベンチャー企業問わず、戦略策定から広報担当者の育成までこなすベテランPRマン。豊富なマスコミ人脈を活かし広報PRの指南役として、BtoBからBtoC企業を幅広く担当、500社以上の実績を持つ。

三上 毅一
記事の執筆者
三上毅一
三上 毅一
シニアPRコンサルタント・書籍プロデューサー

学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学/地域活性と事業構想の特別講師。2019年より広報初心者のためのオンラインサロン「ゼロイチ広報」講師。PR業界歴40年。上場企業、中堅・ベンチャー企業問わず、戦略策定から広報担当者の育成までこなすベテランPRマン。豊富なマスコミ人脈を活かし広報PRの指南役として、BtoBからBtoC企業を幅広く担当、500社以上の実績を持つ。

三上 毅一