ベンチャー・スタートアップのためのPR会社 ベンチャー広報です。
年が明けると、「今年一年の広報戦略はどうしようか?」と考える時期にもなると思います。
年の最初に(もしくは年度の初めに)、前年の振り返りをすることや、改めて広報PR戦略を立てるのは非常に重要です。
広報PRの目的を再度確認し、ターゲット媒体を見直したり、キーメッセージを設定し直したりするのも良いと思います。
その中でも、筆者が一番重要視しているのは「PR年間スケジュール」を作成することです。
PR年間スケジュールは、広報PRの戦略骨子を具体的なアクションに落とし込み、一年の中での露出の山を把握し、露出を最大化するための準備をするのにとても役立ちます。
ここで紹介するのはあくまで一例ですし、商材によっても多少作り方やスケジュールに落とし込んだ方が良い内容は変わってきますが、「PR年間スケジュール」自体は、特にファッション誌や美容誌などの女性誌にアプローチをするためには必須のもの。
ぜひ、皆さんも実際に作成してみてください。
PR年間スケジュールのフォーマット
まずはフォーマットの準備から。
以下の手順に沿って作成してみましょう。
(1)エクセルもしくはスプレッドシートを開く。
(2)A列2行目から4行目を結合して「メディアの動き」、A列5行目から8行目を結合して「当社の動き」と入力。
(3)1行目のC列からN列まで順に1月から12月までを入力する。
(4)B列の2行目から8行目まで、順に「雑誌進行」「雑誌テーマ」「WEBテーマ」「新商品・新情報」「ニュースリリース」「ニュースレター」「その他施策」と入力する。
ここまででフォーマットの作成は終了。
あとは「雑誌進行」「雑誌テーマ」「WEBテーマ」「新商品・新情報」のそれぞれの項目に、どんどん月々の情報を書き入れていくだけです。
PR年間スケジュールの項目
作成したPR年間スケジュールに、大きく2つ「メディアの動き」と「自社の動き」を書き込んでいきます。
<メディアの動き>
・雑誌進行
こちらは、雑誌は何月に、何月発売の何月号が進行しているのかを書き入れます。
女性誌は3ヶ月前進行が基本なので、
例えば1月に進行しているのは「2月末売4月号」となります。
女性誌の場合、発売している「号」の季節が、特集・企画するテーマに大きく関わるので、
いつに発売される何月号なのかを、捉えておきましょう。
1月から12月まで全て埋めていくと、雑誌は1シーズン先のものを制作しているんだな、ということが掴めます。
・雑誌テーマ
ここには特集や企画のテーマとなる項目を記入します。
例えば1月は、春夏の新作ベースメイク品、美白、花粉、ゆらぎ肌、2月は美白、紫外線対策、メイク、ヘアアレンジ、などです。
進行しているテーマがわからない場合は、媒体調査から始めてください。
ターゲット媒体の2020年一年分(12冊)を振り返り、特集・企画テーマとなったものをリストアップしてみましょう。
できれば媒体調査は1媒体ではなく3媒体くらいやると、だいたいこの時期にはこんなテーマが多いな、という傾向がつかめるはずです。
・WEBテーマ
女性誌系WEBは、雑誌の進行とは違い、タイムリーな情報を発信しています。雑誌掲載を狙うのか、WEB掲載を狙うのかで、アプローチをするタイミングが違ってきますので、必ず雑誌とは別軸で進行を捉えておくようにしましょう。
<自社の動き>
・新商品・新情報
こちらはすでに決まっている新商品発売の予定を記入します。
あくまで現時点で決まっているものを入れられればOKです。
正確に●月●日までわからなくても、ざっくり●月頃とか、早くて●月とかわかる範囲で入れておきます。
新商品情報以外でも、新しい自社の動き(商品リニューアル、価格変更、新サービス、販売数●●万個突破!など)があればこの項目に入れておいてもOKです。
ここまでは事実を入れていくだけなので、比較的スラスラ埋めていけたと思います。ここからはPRを戦略的に考える項目になってきます。
・ニュースリリース
ニュースリリースのネタとなるのは「新商品・新情報」に書いた情報になります。
ニュースリリースで一番大切なことは、
「新商品・新情報にあるネタを、いつ発信すれば一番効果的なのか?」を考えて発信計画を立てることです。
例えば、5月15日に新商品発売の予定があるとします。
それを“雑誌で”かつ“新商品情報として”掲載されることを狙う場合、ニュースリリースを発信するベストタイミングはいつでしょうか?
まず、狙うべき掲載号を考えます。
5月発売の新商品なので、商品発売前の【4月末売・6月号】ですね。
それでは、その発売号の企画進行はいつ進んでいるのでしょうか?
それは、先ほどの「雑誌進行」に入れた情報を参考にします。
【4月末売・6月号】の内容はいつ進行しているのか?
→3月には進行が始まります。
そうなると3月には、雑誌の編集者やライターまで情報を届ける必要があることがわかりますよね。
では、5月15日発売の商品を、雑誌で新商品として掲載してもらうためには、ニュースリリースをいつ出せばいいのか?
→2月末か遅くとも3月には発信しておくべきです。
これは“雑誌で”かつ“新商品として”掲載されたい場合の落とし込み方です。
例えば、「雑誌は狙わなくていいからWEBだけ掲載を狙いたい!」という場合にはWEBの進行に合わせて情報発信をすべきです。
このように、「新商品・新情報」からニュースリリースネタとなりそうなものをピックアップし、それを掲載されたい雑誌もしくはWEBの進行に合わせて、どの時期に情報発信すべきなのかを落とし込んでいくと、
「前半はネタがいっぱいあるけど、後半は全然ないな」
「発信する情報はいっぱいあるけど、時期が重なってるな」
など、年間で捉えることができると思います。
PR活動において、一番良い状況は、「定期的に情報発信(=取材ネタとなる情報や企画の提案)を発信できること」です。
いくら情報発信が多くても、同じ時期に被ってしまってはもったいないですし、1年間のうちに1か月間だけたくさんニュースリリースが出せても、あとの11か月はネタなし…という状況だと成果を出すには厳しいでしょう。
年間スケジュールを作成して、情報発信のバランスを戦略的に整えることは、広報の役目です。
・ニュースレター
続いて、ニュースレターです。
ニュースレターは、戦略的な広報計画を立てるにあたって、様々な活用方法と計画の立て方があり、かなり使える武器になります。
その中の1つ、ニュースリリースの補助的な役割として年間スケジュールに落とし込む方法をここでは紹介します。
ニュースリリースの計画を立てると、年間で情報発信の波を把握できます。
その波がない時期(=発信する情報が少ない時)に、ニュースレターを活用する方法します。
例えば、2月、3月、9月、11月にニュースリリースが出せるとします。
そうなると4月~8月までの4か月間、全く情報発信をしないことになります。
そこでニュースレターを活用して、“定期的な情報発信”をしている状態を作ると考えてください。
5月と7月にニュースレターを出せば、2か月に1回は何かしらの情報発信ができている状態が作れますよね。
(その際、メディアの企画進行を意識したネタにすることを忘れずに!)。
・その他の施策
最後に「その他の施策」ですが、ここに該当するのは以下のような施策です。
・記者発表会
・メディア懇親会
・プレスツアー
・メディアサンプリング(ギフティングともいいます)
などなど
ニュースリリースやニュースレターなどのように定期的かつ継続的なものというよりは、不定期かつ単発の施策などが該当しますが、
事前準備がしっかり必要になりますので、準備期間も加味した上でスケジュールを立てておく必要があります。
「この一年どの時期が“露出の山”になるのか」
「どの時期から動き出さないといけないのか」をしっかりと考え、広報PRを戦略的に進めていきたいと思うなら、
年間スケジュールの作成はとても大切なことです。
ぜひ実践してみてください。