広報パーソンにとって、メディアについて知ること、媒体研究は重要な業務の一つです。
かつては、メディアといえば、四マスと呼ばれるテレビ・ラジオ・新聞・雑誌をいいましたが、昨今では、四マスに加えて「Webメディア」が新たなメディアとして重要となってきています。
インターネットと広報
ここ数年でメディアのデジタル化は急激に進んでいます。
2018年、経産省は「デジタルトランスフォーメーション(DX)」推進ガイドライン」を発表しました。
DXとは、スウェーデンのウメオ大学エリック・ストルターマン教授が提唱した
「企業がITを利用して事業の業績・対象範囲を変化させる」概念です。
企業にもこの波が大きく広がっています。
またスマートフォンの普及とともに、
企業のオムニチャネルやOMO(オンラインとオフラインの融合)によって、購買行動が大きく変化しています。
広報分野でも、DXに取組む企業やChatGPT(Chat Generative Pre-trained Transformer)の話題が多く報道されています。
メディア業界でも同じようにデジタル化が進んでいます。
変わるメディアの在り方と情報発信の多様化
コロナ禍を経て、テレワークの普及やデジタル庁の新設など、多くの企業がIT化に取り組み、IT人材の不足が課題となっています。
政府や一般企業だけでなく、もちろん、マスコミ業界のデジタル化も急激に進みました。
新聞社や出版社は、紙媒体からWebメディアへデジタルシフトし、紙媒体をもたないWebメディア専門のマスコミも数多くなりました。 Webメディアの台頭やSNSの発達、5G等テクノロジーの進化もあり、ニュースはいつでも誰でもスマホでつぶさにキャッチできる時代となりました。
既に多くの企業が、WebサイトやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)やオウンドメディアを活用しスピーディに、多面的かつ双方向に効果的な情報発信を行うようになっています。
例えば、私がPRパーソンとして、大きく変わったと感じることの一つに資金調達が挙げられます。
そう、クラウドファンディングです。
このコロナ禍で、BtoB、BtoC、ベンチャー、老舗を問わず数多くの企業が新たな資金調達とも呼べるクラウドファンディングに挑戦していました。
私の新人時代は、資金調達=銀行・投資企業への訴求が基本。全国紙での報道がマストでした。
調達案件の社会的な意義を、募集前や結果の際に、Webメディアで情報発信し記事化につなげるケースが増えています。
この報道により多くのステークホルダーに対して、自社の取組みを認知させ、次の資金調達にも有利になります。
Webメディアとは
Webメディアには、新聞や雑誌の紙系から派生した媒体と独立系の2つに分けられます。
新聞・雑誌系は紙離れからの“デジタルファースト”が加速しています。
紙媒体との違いは
・〆切時間の制約が低く、印刷工程もなく直ぐに記事化ができる
・記事量の制約も低く、ストレートニュースの他にストーリー性の高いコンテンツも豊富
・読者とのインタラクティブ性(双方向性)がクイックレスポンスで実現
・記事の拡散ができ、固定読者以外の様々な読者にも訴求でする
・読者の反響がダイレクトで把握でき、数字で把握が容易
・デジタル報道のため、誤報などその媒体での訂正は比較的しやすいが、拡散力が強い。
なので多くの人に拡散されると取り返しがつきません。
情報の正確性を担保したうえで、情報提供に臨んで下さい。
Webメディアの種類
Webメディアは、新聞・通信社・雑誌社系と、特定の分野に特化した媒体(ビジネス経済・IT・テクノロジー・美容・ファッション・芸能・スポーツなど)の大きく2つに分かれます。
また、「Yahoo!ニュース」に代表される、ポータル系のニュースサイトや、スマートフォンに特化したSmartNews、ニューススイート、ニュースパス、グノシーなど、まとめ系サイトも大きな影響力を持っていますね。
例えば「Yahoo!ニュース」のニュース提供社は、開始当初、毎日、産経、時事通信、週刊ダイヤモンドなどでしたが、現在は提供社数も増え、また新聞、雑誌、テレビ、業界専門、海外通信社と大変多岐にわたる媒体になります。
詳しくは下記参照下さい。
https://news.yahoo.co.jp/media
ここからは、広報パーソンとして知っておきたい主な媒体について紹介します。
これらは、私が日頃意識している基本的な媒体とさせて頂きます。
ぜひこれらの媒体は知っておいて下さい。
一般・総合情報系
・朝日デジタル
・毎日新聞デジタル
・日経電子版
・産経ニュース
・読売オンライン
・共同通信/47NEWS、
ビジネス・経済系
・ダイヤモンドオンライン
・東洋経済オンライン
・日経ビジネス電子版
・Business Insider Japan
・プレジデントオンライン
・NewsPicks
IT・テクノロジー・マーケティング系
・日経XTECH
・日経XTREND
・マイナビTECH+
・CNET Japan
・TECHABLE
・BRIDGE
・ASCII,jp
Webメディアの攻め方の基本
①各媒体の編集方針や報道特性を知る
紙媒体と考えは同じです。日々の報道を分析し、どのようなジャンル・テーマ・カテゴリがあるのか知ることが重要です。
②読者層・特性をしっかりと把握する
私の経験では、ネットメディアは紙以上に訴求対象を強く意識して報道しています。
媒体側が意識している読者層を理解し、それにマッチした情報提供ができれば報道の確率がグッと上がります。
③記者の興味関心を徹底的に分析する
紙媒体同様に多くの媒体では編集部があります。編集者・編集記者がいます。
ネットメディアは、著名記事が多く容易に記者分析ができます。
情報提供したい記者が見つかれば、Webサイト上で編集部の問合せ先(電話番号やメールアドレス、問い合わせフォームなど)がありますので、そこから情報提供しましょう。
また、Webメディアの記者は、自身でSNSによる情報発信をされている方が多いので、そこからのコンタクトも有効です。
Webメディアのビジネスモデルは、いかに有料会員と広告収入を増やすかにより経営に左右されます。
今回解説しました媒体は、影響力が大きく編集・記者体制もしっかりしています。
その他にも、より専門性に特化した小さなメディアが生まれ、知らないうちになくなる媒体も多い印象です。
逆に言えば、まだ売込みも少なく、取材・掲載のハードルが低い媒体も多く存在します。
いかに発信したい情報を、関心を持ってもらえる媒体へ的確に売込むことができれば掲載に繋がります。
また、リサーチした媒体へ1年後にコンタクトしたら、そのメディアがなくなっていたケースも多々あり、素早いコンタクトをお勧めします。
なお、拙著『広報のプロが教えるメディアのトリセツー取材獲得への5ステップ』(㈱中央経済社)にも、
日経ビジネス電子版・原隆編集長とNewsPicks Studios代表取締役CEO/元NewsPicks 編集長・金泉俊輔様のインタビューを紹介しています。
こちらも、ぜひお読み頂ければ幸いです。
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