スタートアップのためのPR会社
株式会社ベンチャー広報の三上です。
昨年は、全国紙・産経新聞について解説しました。今回は、一般週刊誌の基本について解説します。私が新人時代に、先ずは全国紙を学び、次に雑誌の中でも一般週刊誌の基本について先輩から学びました。それは情報提供メディアとして週刊誌の接触が多く、重要な媒体として捉えていました。
広報PRパーソンの皆さんが最も関心の高いメディアが、テレビとネットメディアです。
今回、その一つテレビの基礎知識について解説します。
私は長年PR業界に携わっていて、超有名な上場企業でも、スタートアップ・中小企業の広報パーソンも
「テレビ番組から取材されたいのですが、どうしたらいいでしょうか」
「マツコの知らない世界に製品を紹介してもらいたい」
と、テレビに出たくないクライアントはいませんでした。
ではなぜテレビにみなさん関心を寄せるのでしょうか。それは、報道後の影響力が強いからです。
私も実は、テレビのプロデューサーとして、民報のBS番組を制作した経験があります。
前職で、東北の震災後、放射能汚染・風評被害と、これまでにない日本の食が不安視されていました。被災地の食の取組みの現状をルポ形式で番組を企画しました。
ご関心があれば、YouTubeで「食の国(ニッポン)を救え! ~食の安全と復興~」と、検索頂ければご覧いただけます。
この時に痛感したのは、とにかく撮れ高=うまく使える構図として撮影画像がとれたかの度合い。が付きまといます。
イメージとしては、300%の画像を撮って編集~放映画像で100%に収める感じです。
現地ロケして、何カ所か撮影で回り、スケジュール通り取材者への撮影。天候や取材者の都合でキャンセルになり、改めて現地ロケに行く。テレビ局に収める編集画像が滞り、迫りくる締切日まで恐怖の毎日。
番組の企画上、スポンサーを募り、CMも制作・納品。と、気が狂いそうになりながら放映日を迎えました。取れ高がない!!、でも放映日程は決まっている。テレビプロデューサーは未経験でしたので全くの別世界でした。
ぜひ、被災地の現状や取組みを、多くの視聴者に知って欲しい、その一心でした。
ですから、取材・撮影する立場も、少なからず皆さんよりは経験があります。
テレビメディアは視聴率が命!
民放は、CM収入が主な収益源となります。
より多くの視聴者がいないと番組はなりたちません。昔のバブル時代のように、高額制作費を注ぎこんでインパトのある番組づくりは過去のもの。
現在は低予算でいかに面白い&高品質な番組をつくるかが、主流となっています。
視聴率ってなに?
皆さんが何となく知っている視聴率。
改めて解説しましょう。これは㈱ビデオリサーチが、各地区のテレビ視聴率調査を実施しています。各家庭に視聴データを記録できるボックスを設置します。昔、テレビで、実際に設置しているか調べた番組がありました。謎の視聴率ボックスは存在してるんですね。
1%視聴率は、関東:約40万8千人、関西だと 1%=約16万人、名古屋地区は 1%=約9万人と言われています。
では、何世帯に設置しているのでしょうか。ちょうど、この3月からリニューアルされるニュースが発表されました。
関東:900世帯→2700世帯
関西:600世帯→1200世帯
札幌:200世帯→400世帯
との事です。
この数字からみても、関東で1%獲得したら約40万人がみていることになります。「マツコの知らない世界」が12%~13%台といわれています。なん百万人も人が見ることになります。
テレビ番組にはジャンルがある事を知るべし
番組には大きく分けて2つに分けられます。
一つは報道・情報系番組。もう一つはバラエティ番組。
私の経験から情報提供する頻度の高いのは報道・情報系番組となります。報道・情報系番組は、番組制作スタッフ陣の他に、テレビ局の報道・社会部、経済部、政治部、外信部といった記者も関与しています。
記者は本社、支局、記者クラブ等に配属されます。
朝・昼・夕・夜のニュース番組は、記者関与が高い番組となります。情報系は少し関与が低く、バラエティ番組での記者関与は殆どありません。
私の場合は、ニュース番組狙いなら、まず記者への情報提供に注力します。情報系番組は、記者と番組制作スタッフ陣を。バラエティ番組は、番組制作スタッフ陣を責めます。
番組への攻め方はリサーチが重要
ではどのようにして番組を攻めていくのか、基本について解説します。
- 徹底的に番組をリサーチ
新聞、雑誌、webも同様ですが、テレビも同様です。でも毎日、終日視聴ができません。私は、基本一週間分を録画機でチェックしています。
最低、テレビ東京の
・「WBS」
・「カンブリアカンブリア宮殿」
・「ガイアの夜明け」
・「ゆうがたサテライト」
NHKの
・「おはよう日本/おはBiz、まちかど情報室」
BSテレビ東京
・「日経プラス10」
これ以外の情報番組やニュース番組も、放映内容をチェックして都度録画しています。これを週末にまとめてチェックし、企画立案のヒント、社会・経済のトレンド、番組の放映傾向といった点を分析しています。大抵は早送りで2~3時間費やします。
特にお薦めなのが、BSテレビ東京の「日経プラス10」です。
実は、日経新聞との提携番組で、キャスターやコメンテーターとして、日経新聞社の第一線記者・部長や編集委員が出演しています。私がお世話になった記者の方が、出演されていれば、直接売込みもします。
皆さんも、関連分野で出演された記者が判れば、テレビと合わせて日経新聞への売込みも可能です。これ、お薦めです。
テレビ番組はどんな人が制作しているの?
報道・情報番組系は、新聞社の編集局にあたる報道局の傘下に社会、政治、経済、外信部等があります。その他番組ごとに、下記の主要なポストの局員や制作会社・リサーチ会社スタッフ陣。外部ブレーンとして、放送作家などが関わってきます。
下記が大枠の組織図です。★(☆)は各メディアで情報提供に適しているポストの方となります。
【新聞】
・編集局長
・編集局次長
・経済部長
・経済部次長(デスク)
★新聞記者、編集委員
【テレビ】
・チーフプロデューサー
・プロデューサー
・アシスタントP
★ディレクター
・アシスタントD
・レポーター
【雑誌】
★編集長
・副編集長
・デスク/キャップ
・帰社
☆外部ライター
【テレビ・報道】
・報道局長
・報道局次長
・社会部長
・社会部次長
★社会部記者
テレビの情報源は“新聞”がカナメ
「番組記者や制作スタッフは、どんなメディアが情報源ですか?」「テレビ関係者へ、プレスリリースは見てもらえるんですか?」といった疑問を皆様お待ちです。
私の長年の経験やテレビ制作スタッフに聞いた話ですと、報道・情報系番組は、関連分野の記者(担当部署・記者クラブ経由)や番組経由でのプレスリリース・情報提供が多い。
バラエティ番組系は、番組や制作会社経由でのプレスリリース・情報提供が主になります。また、番組・制作会社の他にリサーチャー(テレビ企画・内容を考えるネタ探しをする専門スタッフ。)という存在もあります。
最近は、記者や制作スタッフの人手不足からこの人たちの役割が重要視されています。その他、どのようなメディアを情報源にするのか、ズバリ“新聞”です。
無論、雑誌・Webも対象にはなりますが、比率の高いのはまだ新聞です。
理由その1
ある大手週刊誌編集長が、朝の情報番組のコメンテーターとして出演されていた時、朝の3時に局入り。
直ぐに、全国紙(日経、朝日、読売、毎日、産経)、スポーツ紙(日刊スポーツ、スポーツ報知、サンケイスポーツ、東京中日スポーツ、ディリースポーツ)各自の机に置いてあり、全紙を読んで情報分析し本番に臨んだと聞いています。
番組スタッフ陣は、全員新聞を読んでいるとも聞きました。皆さんも番組内で、新聞解説コーナーを良く見るかと思います。
つまりテレビの情報源は、新聞は欠かせません。
理由その2
業界あるあるですが、全国紙に報道されたらテレビ番組から取材依頼があった、と良く聞きます。上場企業の広報パーソンは、とにもかくにも日経本紙を優先したい。
これには、新聞の影響力とテレビ番組からの取材の確率が高くなる理由からです。
理由その3
現在テレビで最も活躍されている、私の知人のジャーナリスト・池上彰氏の書籍です。
・「新聞勉強術」
・「新聞の読み方」
などが上梓されています。
池上氏は、芸能人やアナウンサーではありません。元NHKの記者で、ジャーナリストです。
記者時代にいかに新聞が取材情報源で重要だったのか、聞いた事がありました。皆さんにもぜひ、これらの書籍を読んで、広報パーソンとしての基本を勉強して下さい。
テレビ番組の攻め方は改めて解説します。