スタートアップのためのPR会社
ベンチャー広報の三上です。
新年度が始まり、広報セクションへ新たに配属が決まったり、入社・研修後、広報セクションに配属された方も多いのでは。
皆さんはこれから1年間、自社の情報をいかにメディアに情報提供していくか、広報セクションの任務は重要となります。
今回は、情報発信していく先のメディアの中で最も重要な「マスメディア」について解説していきます。
「マスメディア」ってどんな媒体?
そもそもマスメディアとはなんでしょう。
「マス」は大衆・集団という意味です。「メディア」は媒体を意味します。
この二つを合わせて「マスメディア」を指します。
マスを対象にコミュニケーションする媒体を「マスメディア」となります。
広報の世界では、四マスと呼ばれるテレビ・ラジオ・新聞・雑誌を指します。
最近はここにネットが加わり四マス+ネットを「マスメディア」と呼ばれています。
「マスメディア」が変化した背景とは
皆さんもご承知の通り、近年はこの四マスの影響力が低下しいていると耳にされているかと思います。
ちょうど私の世代は、30年前の四マス全盛時代から数十年前にwebメディアが台頭し、その変化を一番現場で感じた一人です。
因みに新聞の総発行部数(日本新聞協会加盟社)は、
2000年に、約5,370万部あり、
2018年には、4,000万部を切りました。
新聞広告費は、
2005年に、10,377億円だったのが、
2018年には、4,784億円まで減少しています。
ネット広告費がテレビ広告費を逆転する日が近いとも言われています。
この変化はマスコミ報道にも影響してきています。
購読が減り続けている新聞各社は様々な対応策を講じています。
これは販売競争だけでなく、取材体制・記事コンテンツ・紙面づくりまで報道活動にも派生してきています。
私が35年の間、毎日、新聞購読していて感じている点は以下となります。
- その1:文字数の減少現在、全国紙の多くは「1ページ12段」です。2000年代中頃までは「1ページ15段」でしたが、文字を大きくして見やすくしようという流れから検討する社が相次ぎました。また1行の文字数は11文字が主流です。数年前までは、各社ほとんどが12文字、もっと前にさかのぼると14文字の時代もありました。
- その2:紙面構成の変化私の新人時代は、新聞社が自社の主張が言える唯一のコーナーは「社説」と、教育を受けてきました。しかし、最近は各紙、継続して購読を維持させる施策として、解説記事の充実、記事内に記者の主張を入れたり、取材記者の私見を顔写真入りで紹介するケースが増えてきています。これは読者ターゲットに関心を持たせる特色を各社が打ち出してきている一つです。
一方、紙面全体的にストレートニュースが減り、数社に取材して動向をまとめた企画記事も増えてきています。昔のように事実の伝達が中心だったが、現在は各社独自の記事で特色が加わるようになり、読者が評価する要素が生まれています。
紙面の文字サイズや段数の関係で、載せられる記事の本数が減っているうえ、コンテンツの差別化のために記事そのものがスペースを大きくとる変化がおきています。
- その3:電子版の強化webの台頭・紙面の情報量減少に伴い、各新聞社も電子版を強化している。各社とも、実は電子版を含めると記事やニュースなどのコンテンツの量はかなり増加傾向にあります。紙面の情報量は減少しても、電子版の情報量が増えています。これはマスメディア全体の情報量は拡大していることになります。ということは、取材数も増えています。
各社電子版独自の紙面構成・コーナーがあります。
例えば、朝日新聞は中堅・ベンチャーのトップを紹介するコーナーがあります。つまり、私たち広報パーソンからみると、“自社の取材を増やせるチャンス”があります。各電子版の媒体研究はより一層重要となります。
- その4:マスメディアの話題は「ディーエフ」?最近、メディアの方と話す話題が、「ディーエフ」です。Digital First(ディジタルファースト)の頭文字をとったものです。各社とも、紙面よりも電子版にスクープを報道させる傾向が増えています。朝刊のスクープが、既に前日の夕方から深夜に既に電子版で報道されているケースが多く見受けられます。これがデジタルファーストです。
今は、新聞へのスクープ報道を重視する世代が編集中枢にいますが、あと数年で環境は激変すると予想しています。
- その5:電子版は24時間体制、いつでも報道可能な体制に。新聞の朝刊は主に11版から14版あり、首都圏の朝刊は前日21時半頃に地方向けの11版の締切り、22時12版、24時に13版、そして午前1時半頃に最終14版を締切る。夕刊は主に3版が10時頃で、最終の4版が13時半頃に締切ると教育を受けました。これに合わせて、企業からの情報提供も夕刊向けには遅くとも前日までに。翌日の朝刊向けには午前中遅くとも14時頃までに行うように心がけてきました。そのため、広報パーソンは各社の特性と締切り時間考慮しながら記者と交渉を進めていきました。
記述の通り、新聞には締切りがあるが、電子版には締切りはありません。
私のクライアントでも日経新聞の取材後、翌日の朝刊に報道された記事が既に、午前2時頃の電子版で報道されたケースも経験しています。
「記者へ連絡を取るのにベストな時間帯はありますか?」と、新人の方によく聞かれます。
私の経験上、取材先から社に午後5時頃戻り、原稿執筆~デスクとのやり取りが午後7時頃まであるので、この時間帯を避けていますと答えます。しかしこの対応も、徐々に記者個人によって対応が変わっていきます。
以上が、私の感じたマスメディアの変化です。
最後にお伝えした事
- 広報パーソンの基本は「新聞」「ディーエフ」時代といえども、新聞が皆さんにとって基本的な教科書になります。広報パーソンにとって、新聞がすべての基本です。実は、テレビ報道・情報番組の要は=情報源は新聞です。
私が知る限り、30年前から現在も各局とも、朝刊や夕刊の紹介コーナーがあります。
TBSテレビの「ひるおび」は、“業界初 飛び出す新聞バン”とアピールした名物コーナーが現在も続いています。また、テレビキャスターや記者も、毎日の取材源としてかかさずチェックしています。 - 広報パーソンたるもの、日々、メディアの動向に“アンテナを張る”私たち広報パーソンは、常にメディアの変化に敏感に察知し、メディア環境に合わせた記者とのコミュニケーションや情報提供が大切な仕事になります。ぜひ、最近のマスメディアの変化に皆さんも敏感になって下さい。自社を取り巻く情報は「どのようなマスメディアにマッチしているか」「変化の激しいメディアとどのように上手く付き合っていけば良いのか」この機会に考えて頂き、1年間の広報・PR活動をして頂ければと思います。
折をみて各媒体の特色や実務的なポイントもご紹介します。
また、このブログを読んでの感想や広報活動で悩んでいる事、上司や仲間に“いまさら聞けない”広報について聞きたい事がありましたら、お気軽に下記のメールにご連絡下さい。
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