広報として目指すべき“マスコミとの理想の関係性”とは
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広報として目指すべき“マスコミとの理想の関係性”とは

企業の広報担当者にとって、記者や編集者、ディレクターといったマスコミ関係者が重要なパートナーであることは、改めて言うまでもありません。広報PRパーソンとして、彼らをどのように理解し、どのような関係を作るべきかについて、考察したいと思います。

報道機関も普通の会社。記者もサラリーマン

いきなりですが、次の2つの記事を読んでみてください。NHKでは、会社都合で、現場に必要以上の負荷をかけた結果、記者が過労死しています。テレビ朝日では、現場の意見を聞かずに、トップダウンで重要な人事が決定されました。

■東洋経済オンライン
過労死「31歳NHK記者」を追いつめた選挙取材の闇
NHK報道の二大柱「選挙と災害」その現場の過酷

■現代ビジネス
大越キャスター「報ステ起用」のウラで何がおきたのか…?「テレ朝」“現場無視”体質の大問題

「経営トップや組織の都合が優先され、現場の意見はないがしろにされる」。これは、一般企業でもよくあることです。マスコミの人(記者、編集者、テレビの番組ディレクターなど)というと、“何か特別な人たち”というイメージを持っているかもしれませんが、実はそうではありません。

報道機関も普通の企業だし、そこで働く記者たちも、組織人という意味では一般企業のサラリーマンと同じです。できれば出世して高い地位と報酬が欲しいし、少なくともクビにはなりたくないしょう。ですから、上からの業務命令には逆らわないし、上司に忖度もします。報道機関やマスコミ関係者を、過度に特別視する必要はありません。自然体でお付き合いしてください。

広報とマスコミは、利用し利用される大人の関係

広報の仕事をしていると、マスコミに対して「取材してください」とお願いすることが多くなります。だから、広報よりマスコミの方が偉いと思いがちですが、それは違います。ある大手経済誌のエース記者は、「広報よりマスコミが上だということはない。広報とマスコミは対等なパートナーだ」と言っていました。確かにその通りです。

ただ、その関係性は単純ではありません。事業会社の広報は、自社にとって都合の良い報道をしてもらうために、マスコミに自社の情報を売り込みます。マスコミ側は、より多く価値ある報道をするために、広報から有益な情報を引き出そうとします。

そこには当然、駆け引きもあるし、ギブアンドテイクも発生するでしょう。利害が一致するときには協力しますが、そうでなければ対立することもあります。お互い利用し、利用される関係だとわかった上で仲良くする――。広報とマスコミは、そういう「大人の関係」なのです。

「愚痴を言ってもらえる」くらいの関係を作れるか

冒頭の記事にある通り、報道機関も普通の企業ですし、そこで働く記者もわれわれと同じ人間です。マスコミ人とはいえ、仕事をしていれば嫌なことはあるし、上司や会社に不満を持つこともあります。そうしたことを理解した上で、彼らに寄り添ったコミュニケーションが取れるかどうかが、広報担当者には問われるのです。

マスコミ広報の仕事をする上で、これはとても重要なことだと思います。広報とマスコミは利用し利用される大人の関係だと書きました。だだし、これはあくまで、「職業人としての付き合い」ということです。できれば、さらにもう一歩進んで「人と人の付き合い」ができるようになりましょう。

仕事だけでなく、趣味や家族の話ができるような関係です。会社や上司の愚痴を言ってもらえるようになれば最高ですね。利害関係を超えた、深いつながりのあるマスコミ関係者が何人いるか。それが、広報担当者としての財産だと思います。

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記事の執筆者
野澤直人
野澤 直人
代表取締役

大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上を取材。その後、海外留学関連のベンチャー企業に参画し、広報部門をゼロから立ち上げ、同社の急成長に貢献する。2010年に株式会社ベンチャー広報を創業。以来10年間でクライアント企業は400社を超える。著書に『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)。

野澤 直人
記事の執筆者
野澤直人
野澤 直人
代表取締役

大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上を取材。その後、海外留学関連のベンチャー企業に参画し、広報部門をゼロから立ち上げ、同社の急成長に貢献する。2010年に株式会社ベンチャー広報を創業。以来10年間でクライアント企業は400社を超える。著書に『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)。

野澤 直人