スタートアップのためのPR会社
ベンチャー広報の野澤です。
前回に引き続き、今回もVUCAワールドついて書いていこうと思います。
不確実性が高いこの時代おいて、私たちがビジネスを成功させるためにはどうしたらいいのでしょうか。これについては既に様々な場面で議論がなされており、「VUCA時代にビジネスを成功させる3つの要件」というものがすでに提示されています。
VUCAが広報PRの特徴そのものだったように、この3つの要件と広報PRにもまた多くの共通点がありました。
VUCA時代にビジネスを成功させる3つの要件
VUCA時代にビジネスを成功させるためには、下記の3つの要件が必要だと言われています。
- 「確固たるビジョンやストーリーを持つ」
- 「走りながら考えこまめに軌道修正する(トライ&エラー)」
- 「ゲームの「ルールメーカー」になる」
これらを一つ一つ紐解いていくと、VUCAが広報PRそのものであったのと同様に、成功要件もまた、広報PRのあるべき姿と一致するのです。
1. 確固たるビジョンやストーリーを持つ
VUCAな世界では、「こうなりたい」というビジョンやストーリーを持つことが重要だと言われています。なぜなら、不確実で先を見通せない中では、ビジョンやストーリーでしか進むべき方向性を見いだせないからです。マーケットに左右されるのではなく「自分たちはこうしていく」という確固たる意思を持つべきなのです。
広報PRにおいても、企業や個人のストーリーが非常に大事だと言われています。なぜなら、ストーリーは多くの共感を生みます。SNSの力が大きな現代においては、いかに共感を生むかも重要なポイントで、それゆえにストーリーがあった方が報道にもつながりやすいのです。
身近な例を挙げると、多くの人が持っている「iPhone」もビジョンやストーリーを持つ商品の一つです。私たちは単なるスマートフォンという製品を買っているのではなく、アップル社やジョブズのストーリーも一緒に買っているのです。製品そのものだけを見たら、もしかするとHuawaiの方が安くて機能もいいかもしれません。それでもiPhoneを使う理由は、iPhoneが持つストーリーに魅力を感じるからでしょう。
2. 走りながら考えこまめに軌道修正する(トライ&エラー)
かつて企業は、3年や5年で中期経営計画を立案しそれにそって経営をしてきました(今でもそうしている会社は多いです)。もちろん計画すること自体は重要ですが、この不確実性が高いVUCA時代において、そうしたやり方はすでに最善の方法ではないといえるでしょう。将来を予測することが難しく計画通りに実行することが困難になっているこの時代においては、走りながら考えこまめに軌道修正することがより重要だといわれています。
これは、広報PRの動き方と同じです。広報PRは最初に戦略や施策を企画立案しますが、当初の計画通りスムーズに進むことはまずありません。そのため、計画をもとに広報の施策を走らせる中で、マスコミ関係者からのフィードバックやターゲットの反応を受けて、細かく軌道修正をかけるのです。全てのPR会社がそうとは限りませんが、少なくともベンチャー広報では毎月1回は活動内容の見直しを行いPDCAを素早く回すように心がけています。トライ&エラーを繰り返しながら戦略や戦術を修正していくことが、広報PRを成功させる重要なポイントです。
3. ゲームの「ルールメーカー」になる
不確実性の高い世の中ではマーケットの予測ができないため、自分たちでマーケットを作っていくべきだと言われています。つまり、ルールを作る側になる必要があるのです。
広報PRは本質的には、マスコミに報道を通じて狙っているコミュニケーションターゲットの認知を変え、最終的に行動変容を起こさせるための取り組みです。
そのための手段として、世の中の流れや価値観を変える、いわゆる「世論形成を行う」「空気を作る」ことが必要になる場合もあります。つまり、決められたルールの中でどう戦うかではなく自分たちで積極的にルールを作りにいく、それも広報PRなのです。
ビジネスを成功させる3つの要件と照らし合わせても広報PRはVUCAと通ずるところが多いことがおわかり頂けたでしょうか。それゆえ、VUCAワールドにおいて広報PRは親和性の高い施策であり、今後ますます重要性が高まるのではないかと思っています。