社会と適切にコミュニケーションするための“6つのルール”

スマートフォンが普及し、SNSや動画など情報接触の手段が増えたことを背景に、広報PR活動は複雑化しています。そうした状況に問題を感じている広報PRパーソンにとって、本田哲也氏の著書『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』は、課題を解決するヒントになるでしょう。

著者について

著者の本田哲也氏は、1999年に世界最大規模のPR会社フライシュマン・ヒラードの日本法人に入社し、2006年ブルーカレント・ジャパンの代表に就任。国内外企業との実績が多数あり、『PRWEEK』誌で「世界でもっとも影響力のあるPRプロフェッショナル300人」に選出されたPR専門家です。戦略PRに関する著書を多数発表しています。

書籍の概要

PRは社会と企業をつなぐ重要な役割であることは、広報PRパーソンであれば認識していると思います。では「PRとは何ですか？」と問われたら、どのように回答しますか。本書では、「PRとは世の中を舞台にした情報戦略である」と定義しています。そして、SNSやスマートフォンの普及により、個人を取り巻く情報環境が複雑化している現代だからこそ、PRの重要性が高まっていると説きます。

第1章ではその理由として、「生活者の情報選択率の低下」「企業がコントロールする情報の影響力低下」「情報のパーソナライズによる社会関心の多層化」という3つが示されています。それらに対応するため、第2章はパブリシティとPRの構造を改めて振り返りながら、戦略PRに必要な「社会関心を料理する」という発想の重要性とフレームワークが紹介されています。

以降の章では本書の主題である、企業が社会と適切なコミュニケーションを行うための“6つの法則”を提示し、具体的に説明します。

・社会性を担保する「おおやけ」
・偶然性を演出する「ばったり」
・信頼性を確保する「おすみつき」
・普遍性の視座である「そもそも」
・当事者性を醸成する「しみじみ」
・機知性を発揮する「かけてとく」

それぞれの法則に沿った国内外のPR成功事例を基に、社会関心をどのような視点で見出し、どんな情報構造を用いたか、その結果として発生した顧客層の変化までわかりやすく解説しています。また、メディアリレーションのみならず、SNSおよび動画配信などの分散型メディアやインフルエンサーといった情報接触手法の活用、普遍性や潜在性を軸とした情報づくりの効果も記載されています。

中には、一見すると「これは広報PRではないのでは…」と思われるような事例もあります。ですが、企業と社会のコミュニケーションとして考えると、SNSやスマートフォンの出現によって細分化された情報動線に対応する手法選択とコンテンツ開発は、現代の広報PRに必要なスキルでしょう。本書では、戦略PRの目的である「どのようにして人々に行動変容を促すのか」という問いに対し、PRにこそクリエイティブなアイデアが求めらる、ということが明確化されています。

マーケティング視点のPRを進めたい方にも

広報PRの活動領域は、SNSや動画配信など、顧客との情報接触の手段が増えたことで複雑化しています。見方を変えれば、プレスリリースや取材といった対マスメディアへの活動に限らず、顧客層に合わせた様々なコミュニケーション手段を選択でき、情報流布の機会創出がしやすくなったとも言えます。

「これらを、どうしたら活かすことができるのか」と、課題に感じている広報PRパーソンは多いのではないでしょうか。本書は、企業を取り巻く情報環境の変化に対応したPR戦略を、再現性ある“6つの法則”に落とし込み具体的かつ体系的に示した書籍です。広報PRにおける課題解決のヒントを見つけることはもちろん、マーケティング視点を取り入れたPRを進めたい方にもおススメの一冊です。

書籍：『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』
著者：本田哲也
発行元：ディスカヴァー・トゥエンティワン