スタートアップのためのPR会社
株式会社ベンチャー広報の高橋です。
今回は、広報に関するおすすめ書籍をご紹介したいと思います。
書籍:『テレビ報道記者』
著書:下川美奈氏
発行元:ワック株式会社
【著者について】
著者の下川美奈氏は、日本テレビの報道局社会部解説委員兼デスク。過去には「情報ライブ ミヤネ屋」や「深層NEWS」でキャスターとして、現在では「スッキリ」のコメンテーターとして番組にも出演されています。
下川氏は、早稲田大学卒業後、新卒で日本テレビに入社し、主に社会部の報道記者として事件などを取材。2006年には新聞・テレビ含めて女性初の警視庁キャップを務め、2009年には社会部デスクに。その後、社会部デスクの業務とともにキャスターやコメンテーターも経験。25年間、報道の最前線で活躍されています。
【書籍の概要】
この書籍は、下川氏が日本テレビに入社してから歩んできたテレビ報道記者人生を綴った一冊です。下川氏が「報道記者がどんな風にニュースを取材し放送しているのか伝えることで、これまでと違った視点でニュースを見ていただけるかもしれない、そんな思い執筆した」と語っている通り、書籍には、テレビを見ているだけでは分からない報道の裏側(警視庁と報道記者の関係、報道協定や誤報問題などの事件と報道の関わり方など)がありのままに記載されています。
【広報PRパーソンにぜひ読んでほしい理由】
私が本書をお勧めする理由は、「テレビ局に所属する報道記者の仕事を知ることができる」点です。テレビ番組で露出を狙う上で、最も重要視する役職は「ディレクター」ですが、報道記者もチェックすべきポジションの1つです。
ディレクターと報道記者の違いについては、「ディレクター」と「報道記者」の違いとは?という記事に記載されていますので、ぜひご覧ください。
報道記者をチェックすべき理由としては以下が挙げられます。
・番組によっては報道記者が持ち回りで担当する特集企画がある。
・ディレクターからは興味関心を得られなくても、報道記者には刺さり取材につながる場合がある。
・報道記者と報道番組のディレクターは同じ報道局内に所属し、報道記者からディレクター、ディレクターから報道記者という風に異動が頻繁にある。
このように、報道記者と繋がりを持つことでテレビ番組での露出可能性を高めることができます。
そんな報道記者ですが、ベンチャースタートアップの広報担当者では接点を持つことが難しいポジションでもあります。なぜなら、多くの報道記者は記者クラブに在籍し、業界に大きな影響を与える大企業を主な取材対象にしているからです。また、新聞記者の署名記事のような個人名と取材内容を把握できる情報を得ることができず、どの報道記者がどんなネタを追っているのか個人名レベルで把握できません。
そのため、企業の広報担当者が報道記者と接点をつくるには、
・報道記者が内勤する部署へプレスリリースを送付し反応を待つ。
・自社の事業に関係する記者クラブに資料を投函し反応を待つ。
・記者クラブ内のスペースで会見を行い、話を聞きにきてくれた記者と名刺交換をする。
・資料投函時に名刺交換をする(最近はコロナの影響からか記者クラブ内での挨拶回り、名刺交換はNGとしているところが多いです)。
とハードルは高いですね…。
そのため、一度接点を持てた場合は丁寧なコミュニケーションを心掛け、長いお付き合いをしたいです。
しかし、テレビ局によっては署名記事を見つけられるところも。そのテレビ局はNHKです。ニュースサイト「NHK NEWS WEB」に掲載される記事の中には部署名と記者名が記載されているものがあります。ぜひチェックしてみてください。
私も過去に、NHKのネットワーク報道部の記者さんに取材いただいたことがありますが、その際に「取材した記事は、報道局内の番組担当ディレクターも良く見ているので、ディレクターから声がかかり、報道情報番組で流れることもありますよ」と話していました。
ネットワーク報道部の記者は、「NHK生活情報ブログ」からも発見できますよ。
このように、テレビ番組での露出を狙う上でチェックすべきポジションである報道記者。その仕事内容を把握した上でコミュニケーションをとる方が深い関係性になりやすいこと間違いありません。
【最後に】
本書は、テレビ報道記者がどんな仕事をしているのかというPRパーソンが知っておきたいマスコミ事情が分かることに加え、男性社会の中でたくましく、プライドを持って生きてきた下川氏の経験や失敗談、そこからの学びから「よし、がんばるぞっ」と仕事への意欲が湧いてくる一冊です。まだの方は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
書籍:『テレビ報道記者』
著書:下川美奈氏
発行元:ワック株式会社