今回は、広報に関するおすすめ書籍をご紹介したいと思います。
書 籍:『共感PR 心をくすぐり世の中を動かす最強法則』
著 者:上岡正明(株式会社フロンティアコンサルティング 表取締役)
発行元:朝日新聞出版
この書籍のキーワードは「共感」です。世の中が動くかどうかの指標は、「共感されるかどうか」の一点だ!と、著者の上岡正明氏は断言しています。その「共感PR」の法則やコツを、明日からでも実践できるレベルで、具体的に書かいたPRの実践書です。
著者について
著者の上岡氏は、テレビの放送作家として10年間活躍した後、株式会社フロンティアコンサルティングというPR会社を立ち上げ、誰もが知る大手企業含む200社以上の企業ブランド構築やPRを手がけてきました。また、数々のベンチャー企業をPRの力で上場支援しており、「上場請負人」としても話題の人物です。
書籍の概要
- 新しいPRは「共感」がキーワード
PRといえば、商品やサービスを知ってもらうためにメディアに取り上げてもらえるよう働きかけることですが、「打ち上げ花火」と言われることもありますよね。せっかくテレビで紹介してもらえたのに、反響は瞬間的なもので「あの苦労は何だったんだ…」と思うことも、“広報あるある”ではないでしょうか。
これに対して本書は、「どんな商品・サービスをPRする場合でも“個人”に向けて働きかけ、共感してもらえなければ結果が出ない」と述べています。ただメディアで取り上げられるだけではなく、ブログやSNSの口コミの威力が絶大な今、「個人が発信したくなる仕掛け」もつくる必要があるのです。
例として「ジャポニカ学習帳の表紙から、昆虫が消えた」や「ガリガリ君のコーンポタージュ味」が紹介されていたのですが、多くの人を共感させ、SNSで発信・話題にしたくなる要素がどこにあったのかが、分かりやすく書かれていて面白かったので、ぜひ読んでほしいところです。
- 消費者が黙っていられない情報をつくる「8×3の法則」
では、個人に対していかに情報発信すればよいのでしょうか。
まず、自社商品やサービスの情報を、共感して誰かに広めたくなる「心ときめく情報(=切り口や強調すべき情報)」に落とし込む必要があります。自社商品を俯瞰して見るのはなかなか難しいですが、本書で紹介されている「8×3の法則」をぜひ実践してください。
「自社の商品やサービスの強みを探る(8)×消費者に受け入れられるか検証する(3)=共感PRの効果を高める」という法則です。「8」は以下8つの企業視点、「3」は以下3つの消費者視点をさしています。
・8つの企業視点
(1)新規性
(2)優位性
(3)意外性
(4)人間性
(5)社会性
(6)貢献的意義
(7)季節性
(8)地域性
・3つの消費者視点
(1)社会
(2)人(ターゲット)
(3)メディア
PRしたいサービスの強みが8つのうちどれに該当するかを考え、その強みが3つの消費者視点で客観視したときに、本当に求められているのかどうかを探るという方法です。本書ではそれぞれの項目について、事例を踏まえて探り方を紹介してくれています。それぞれを考察する際に有効な質問項目もまとめてくれているので、かなり実践的です。
ここで私が勉強になったのは、「強みを複数見つけて使い分ける」ということです。競合と比べると「新規性」も「優位性」もない…と悩む人もいるかと思いますが、諦める必要はありません。実は「意外性」や「人間性」など別の視点をかけ合わせることで、強みにできるます。8×3の法則を使って強みを複数言語化しておくことで、掛け算したり使い分けしたりして、PRしていくという手法があるのです。
PR戦略に悩んでいる広報の方は、この質問項目にそってサービスを客観視してみるところから始めて、改めて強みを言語化し直すと新しい切り口が見えてくるかもしれません。
この他にも「キャッチコピーの三方良し」も参考になりました。「登場感があるか」「なぜ今なのか」「メッセージ性があるか」という3つの視点でキャッチコピーを見直すというもので、これも踏まえて切り口を考えると、最強のリリースが作れそうです!
最後に
同じ情報でも切り取り方次第で「よくある情報」になったり「おもしろい情報、広めたい情報」になったりするのです。
これは私が印象に残った一文です。よくあるリリースとして世の中に埋もれさせてしまうのか、個人が共感できる情報として拡散されていくのかは、広報の力量次第だと感じました。
心ときめく情報に加工するための方法がつまった一冊なので、「プレスリリースを書いても埋もれてしまう…」と悩む方は、ぜひ読んでみてくださいね。
書 籍:『共感PR 心をくすぐり世の中を動かす最強法則』
著 者:上岡正明(株式会社フロンティアコンサルティング 表取締役)
発行元:朝日新聞出版