今回は、広報に関するおすすめ書籍をご紹介したいと思います。
書 籍:『現場のプロが教える 即戦力をつくる広報PRの教科書』
著 者:上岡正明(株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役)
発行元:すばる舎
過去にも、上岡氏の著書『共感PR 心をくすぐり世の中を動かす最強法則』を紹介しています。個人が共感して発信したくなる仕掛けづくりの手法「8×3の法則」は、要チェックなので、こちらも読んでいただけると嬉しいです。
そして今回ご紹介する書籍は、タイトルの通り「広報PRの教科書」です。戦略の立て方、プレスリリースの書き方など、基本から応用ワザまで、網羅的に書かれている実践書で、かなり濃い内容になっています。
さらに、広報PRの役割変化についても述べられているため、今の業務内容やPR戦略を見直したい経験者にも大変参考になる一冊です。
著者について
著者の上岡氏は、テレビの放送作家として10年間活躍した後、株式会社フロンティアコンサルティングというPR会社を立ち上げ、誰もが知る大手企業含む200社以上の企業ブランド構築やPRを手がけてきました。また、数々のベンチャー企業をPRの力で上場支援しており、「上場請負人」としても話題の人物です。
書籍の概要
<時代の変化に合わせた広報PRを>
皆さんは今、広報PRパーソンとして、どのような業務をしていますか? 新商品、新サービスのプレスリリース作成やメディア対応、露出の費用対効果リサーチ、社内報の制作など、多岐にわたるかと思います。これだけでも本当に大変ですよね。
しかし著者は、これらはコツを覚えれば“こなせる作業”でもあり、こうした活動だけでは経営陣は満足しないほど、この数年で広報PRを取り巻く環境は一変したと述べています。
そこで本書では、広報PRという仕事の最新動向や、時代の変化に合わせて激変した役割などを紹介しています。放送作家からPR会社を立ち上げた広報PRのプロである著者の、ネタづくりや情報提供などを行う際の視点も、余すことなく語られています。
<画一的な取り組みのままではいけない>
時代に合わせた広報PRをするために、欠かせないのは戦略づくりです。「可能な限り多くのメディアで露出を獲得する」だけでは足りません。本書の第2章では、次のようなことが紹介されています。
・成長ステージごとで、どのように広報PRを活用すべきか
・その具体的な活用成功事例
・戦略策定の際に意識すべき3つのフレームワーク
・戦略プランニングの9ステップとそれぞれのチェックリスト
なぜ今こういった戦略づくりが必要になったのかという時代背景と合わせて書かれているため、広報担当者はもちろん、広報に詳しくない経営陣や社内への説明にも参考になりそうです。
<PRネタアレンジ術>
より具体的なPR術として参考になったのは、第3章のPRネタアレンジについてです。著者は「PRネタはノウハウがわかれば学生でもつくれる」と述べており、そのポイントとして、やはり次のようなことが示されていました。
・メディア関係者の心理傾向
・時代の流れに合わせたアレンジ
・「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4視点
冒頭でも紹介した「8×3の法則」も、PRネタの原型づくりのノウハウとして書かれていました。広報PRのプロである著者のこれら視点は、日々の業務に取り入れたいものばかりです。
最後に
個人的に最も参考になったPR視点は、第3章の中にあった「ギャップで印象づけるための方法」です。「なぜこのネタが記事になったんだろう?」という視点で記事を読んでいると、ギャップづくりが上手くいっている例をよく見かけます。だからと言って、こじつけた嘘のPRはできないので、効果的ではありながらも難しい手法です。
本書では、次のようなことが挙げられていました。
・世間の常識をすぐ信じ込まないことの習慣化
・業界内外の知識量の差に注目してみる
・想定外の使われ方・買われ方がないかの調査
・商品設計段階から常識を逆手にとって開発する
これらは、広報担当だけではなくぜひ社内にも周知しておきたいですね。現場からこのような情報が広報に届く仕組みが構築できれば、PRストーリーも作りやすくなるはずです。
こうした目の前の広報業務に役立つノウハウやスキルの勉強はもちろん大切で、その点でも教科書として本書は大変参考になります。しかし、それだけではなく時代変化に適応しながら自身の価値を高めていくために、必要な要素なども散りばめられているのが、本書の何よりの特徴です。
「日々の業務をこなすだけで精一杯になってしまっている…」と感じている方は、ぜひ読んでみてください。
書 籍:『現場のプロが教える 即戦力をつくる広報PRの教科書』
著 者:上岡正明(株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役)
発行元:すばる舎