広報にSNSの力をかけ合わせて“売上を上げるPR術”

笹木郁乃氏の『お金をかけずに誰でもできる! SNS×メディアPR100の法則』は、広報PR担当者はもちろん、SNSの運用担当者にとっても最適な書籍です。広報PR活動においても、SNSの活用は避けられない時代になっており、「売り上げが上がるSNS運用法」や「ファンを増やすSNSの活用法」などを、自身の経験に基づき、惜しみなく紹介してくれています。

著者について

笹木郁乃氏は株式会社エアウィーヴにて、入社当時、年商が1億円だった売上を5年で年商115億円まで急成長させた陰の立役者。当時の広報担当者として、多くのメディア露出を獲得し、売上に貢献しました。

その後転職した愛知ドビー株式会社では、入社1年で、看板商品の高級鍋である「バーミキュラ」を12ヶ月待ちの人気商品へと押し上げ、PRの力で同社が急成長することに大きく寄与しました。

書籍の概要

この本は、次のような悩みをお持ちの方におすすめの本です。
・企業SNSの担当になったけど、どのSNSを始めるべきか分からない。
・SNSを始めて見たけど、なかなか効果が出ない。
・広報PR担当になったけど、何から始めるべきか分からない。
・リリースは書いているけれど、取材に繋がらない。

本書の内容を紹介すると、「今の時代にPRが注目を集める理由」「相手の心を動かすPR設計の作り方」「売り上げが上がるSNSの運用方法」「ファンが増えるSNSの活用方法」「掲載されやすいプレスリリースの書き方」「認知度が高まるメディアアプローチ」などについて書かれています。

100の法則の一つひとつが見開きページにまとめられてあり、各項目に押さえるべき内容が、実践しやすいように記載されているのも嬉しいポイントです。

具体的で実践しやすいSNS運用

各種SNSの特長から、フォロワーの戦術的な増やし方、ファンを増やすための具体的な設計方法に至るまで、事細かに紹介されています。

特に参考になると感じるのは、SNS投稿内容のタイプ別に傾向と対策がまとめられている箇所です。「いいね」がつきやすい投稿における問題点、改善点にまで言及しており、著者の経験から分析した内容を惜しみなく出している点が非常に好印象です。「いいね」の数をKPIの1つにしている企業も多くあると思いますが、そうした企業の担当者にとっても参考になるのではないでしょうか。

メディアへプレスリリースを送るべき理由

最近の広報PR関連の書籍では、「プレスリリースは送るな！」という表現をよく見かけます。当社の代表野澤も、自身の著書その他でお伝えすることが多いです。

その一方でこの本には、プレスリリースを送るべき理由が書かれています。もちろん、プレスリリースを書いたからといって取材に繋がるわけではありませんし、プレスリリースがなくとも取材に繋がるケースも多々あります。

その中で注意すべき点は、「大手企業と同じことをしない、宣伝・専門用語・抽象表現は使わない」ということです。近年、プレスリリースでこのような戦略ミスや間違いを散見するので、作ったプレスリリースを改めて読み直し、細部にまで気を付けていきたいですね。

その他にもPRコンサルタントが、日ごろから気を付けているようなことまでしっかり書いてあります。

メディア人脈がなくても掲載に繋がる技

広報担当者の中には、コロナ禍になって、「メディアに電話しても話したい担当者がテレワーク対応でなかなか捕まらない…」という悩みをお持ちの方も多いと思います。そんな方向けに、人脈がなくてもメディアに露出できる方法を丁寧に説明されています。

一つひとつは決して難しい内容ではないのですが、全て網羅した上で、メディアにアプローチしている方は少ないのではないでしょうか。PRコンサルタントとしても、改めて行動に落とし込みたいと感じる部分も多くありました。

著者がこれまで数々のメディア露出に成功し、所属していた会社の売り上げに貢献されてきた理由がしっかり伝わり、納得が出来る本だなと感じました。

出版当日に重版が決定

広報PRの指南書があふれ、どの本を参考にすればよいか分からないほど、数多く出版されている昨今。その中でもこの本は、一つひとつの項目で事例を踏まえながら丁寧に説明されており、広報PR初心者にとって指南書の1つとして活用できそうだなと感じています。その結果として、本が売れないこの時代に、出版当日に重版が決定するという快挙を成し遂げています。

タイトル通り、SNSに関する情報も盛りだくさんですので、広報PRを担当している方はもちろん、SNSの運用を専任で担当しているという方にも、ぜひ手に取ってもらいたい1冊です。

書籍：『お金をかけずに誰でもできる! SNS×メディアPR100の法則』
著者：笹木郁乃
出版社：日本能率協会マネジメントセンター