スタートアップのためのPR会社
株式会社ベンチャー広報です。
筆者はベンチャー広報に入社する前、女性向けの化粧品や消費財に特化したPR会社に所属しており、女性誌へのアプローチをメインにPRをしていました。
毎月約50誌の女性誌に目を通し、報道分析を行い、徹底的に傾向を分析して培ったノウハウの一部を、ここで書きたいと思います。
第3弾の今回は、実際に私がPRした事例を紹介したいと思います。
ラーメンを女性誌で露出させるには
私がベンチャー広報に入社ばかりの頃、あるラーメン屋さんからPRのご依頼をいただきました。
関東近郊に複数店舗展開している家系ラーメン屋さんです。
正直、テレビでも雑誌でもWEBサイトでも、毎日ラーメンに関する記事はあふれています。ちょっとPRすれば、どこでも取り上げてもらえるんじゃないの? と思いがちですが、そんな甘くありません。
もはや国民食となっているラーメンですが、その分競合が多く、行列やよっぽど尖った特徴がないと、メディアに取り上げてもらうことは非常に難しいです。
さらにこのラーメン屋さん、「PRで女性客を取り込みたい」というご希望がありました。
ターゲットが女性ということは、女性誌への露出が必須ですね。もちろん、女性でもラーメンは食べます。
ただ、雑誌で紹介されるのは、おしゃれなレストランやインスタ映えするスイーツで、ラーメンを取り上げる企画はほぼありません。
ということは、ストレートにラーメンを紹介したところで女性誌が取り上げてくれることはほぼないのです。
特長の中で「女性にウケそう」というポイントを探してみる
まずはこのラーメン屋さんの特長をリストアップしてみました。そしてその中で、「どこが女性にウケそうなのか」という視点で特長を絞ってみたところ、次の4つが挙げられました。
- 家系ラーメンの割にはあっさりしていて、豚骨が苦手な女性でも食べやすい
- テーブル席が多く、女性や家族連れでも入りやすい
- 月替わりメニューを作っている
- 料理長はフレンチ出身
私が注目したのは、「月替わりメニューを作っている」ことです。
定番メニューではなく、月替わりのメニューであれば、ある程度自由にメニューが決められます。料理長も社長も、元々月替わりメニューには毎月かなり工夫をされていて、PRするにはちょうど良い商材でした。
女性誌の進行状況とそのときの特集テーマを分析する
季節は5月。女性誌では7月・8月号が進行している時期でした。月替わりメニューの今後の予定を聞くと、7月・8月のメニューは「冷やしトマトつけラーメン」とのこと。
では、このメニューをどう女性誌に提案するべきか。
まず考えたのは、女性誌の7月・8月号の企画内容です。報道分析をしてみると、7月・8月号では、「ダイエット」「美白」「紫外線対策」「冷やし美容」「汗・臭い」などが企画のキーワードに上がっています。
ということは、この「冷やしトマトつけラーメン」をこれらのキーワードに絡ませて提案ができればいいのです。
企画キーワードに商材を寄せる
ではこの「冷やしトマトつけラーメン」のどこらへんがキーワードに絡められるのか。
私が次に注目したのは、ラーメンに使われている具材です。
トマトにはリコピンが豊富に含まれていて、そのリコピンには抗酸化作用や血糖値を下げる効果の他に、美白効果やダイエット効果があると言われています。
さらに1日の摂取量の目安は15mg〜20mg。これはトマト2個分に相当するそうです。「冷やしトマトつけラーメン」には、トッピングにトマト1個、つけだれにもトマト1個分、1杯で計2個分のトマトを使用していました。
したがって、この商材の特長である「トマト」の効果を、企画キーワードである「美白」「ダイエット」に寄せることにしたのです。
リリースはキャッチーなタイトルと目を引くビジュアルにする
早速私はプレスリリース作成に取り掛かりました。
タイトルは、「美白ラーメン」。
見た目のインパクトも出すために、トッピングのトマトはスライスして乗せるのではなく、丸々1個をホールのままドーンと乗せてもらうことにしました。
プレスリリースには1ページ目にはインパクトのあるラーメンの画像を大きく入れ、「この夏は、ラーメンで美白しよう」という提案書に近い内容でプレスリリースで女性誌の美容担当者に向けて情報提供を開始しました。
すると、ある女性誌からお問い合わせが…
「注目のスポットとか現場を紹介する連載企画で、美白ラーメンを取り上げたいんですけど。店舗で試食しながら取材もできますか?」
なんと、カラーで1ページ全部このラーメン屋さんを取り上げてもらえたのです!
しかも、店舗で試食しながら取材ということで、期間限定の「冷やしトマトつけラーメン」だけでなく、定番のラーメンのとんこつなのにあっさりしていて女性でも食べやすいという特徴と、「テーブル席が多く女性でも入りやすい」という店舗の特徴まで記事で紹介をしてもらえたのです。
一見、女性誌には縁がなさそうな商材でも、発想1つで掲載の可能性は充分に見出せます。