中小・スタートアップのためのPR会社「ベンチャー広報」
シニアPRコンサルタントの三上です。
PRパーソンには必須の「媒体研究」。
私が新人時代はメディアを知る上で基本的な参考書が「新聞」で、
新聞の事が理解できたら、
次に「週刊ビジネス誌」を勉強するように指導されました。
特に、コーポレートコミュニケーション=企業広報に携わるうえで、
週刊ビジネス誌(経済誌)が大切なメディアと教わりました。
今回は、週刊ビジネス誌(経済誌)の中でも代表的な4大ビジネス誌についてと、取材獲得のためのポイントについて解説します。
4大ビジネス誌とは
週刊ビジネス誌のなかでも、代表的な4大誌として挙げられるのが次の媒体です。
- 「日経ビジネス」
- 「週刊ダイヤモンド」
- 「週刊東洋経済」
- 「週刊エコノミスト」
新聞と週刊ビジネス誌の違い
媒体ごとの特徴を知る前に、新聞とビジネス誌の違いについて簡単に紹介します。
新聞が、まず速報性を優先させるのに対し、
週刊誌は週単位で、政治や経済ネタを中心に掘り下げていくメディアです。
各号(週)ごとに大特集から小特集とテーマを設け、記事が書かれます。
また、新聞と大きく異なるのが、記者クラブに加盟していない点です。
新聞の情報源は記者クラブ経由による情報が大きく占めます。
しかし、週刊ビジネス誌は独自の取材網を活かして活動しています。
4大ビジネス誌の特徴について
日経ビジネス
日経BPが発行しており、主要ビジネス誌の中でも最大の読者数を誇ります。
ビジネス誌の中では、1969年創刊と比較的新しい雑誌です。
日経新聞グループとして、新聞記者と編集者がお互い出向しあう相互関係もあります。
特徴として、定期購読専用の雑誌になっています。
ですが、ビジネス街にある書店や大きな書店では販売しています。
誌面内容は、マクロ経済からミクロ経済まで俯瞰的な視点で、ビジネスパーソンとして知っておきたい内容を網羅的に特集していくような印象があります。
その一方で、個人のマネープランや投資といった内容は他のビジネス誌と比べると少ない印象です。
特に、上場企業の広報パーソンには絶大な支持をされています。
誌面には、独自のビジネスモデルで成長しているスタートアップ・ベンチャー企業でも紹介してもらえる名物コーナーもあります。
週刊ダイヤモンド
1913年創刊の歴史と伝統を誇る週刊ビジネス誌です。
創刊当時から、企業産業界の出来事を数字・データで説明・報道していくデータジャーナリズムが基本となります。
週刊ビジネス誌の中でも、書店で一番の販売数を誇る雑誌です。
斬新な特集企画、独自の市場調査、精密でタイムリーな経済・産業・起業レポート、多彩な連載記事・コラムなどによって、ビジネス活動に有益な情報を提供しています。
独自の切り口による徹底した取材記事と豊富なデータを、見やすいビジュアルで構成する誌面が特徴です。
また、投資情報や個人マネーに関する内容も多く、ビジネス誌の中ではエンターテインメント性も高めになっています。
旬なテーマに切り込んだ特集で、図・グラフ・ランキングなどの情報があり、経済情報を「わかりやすく」伝えることに工夫している印象です。
財務・決算等、専門用語が多く、数字が理解が難解と思われがちな内容も徹底的にわかりやすく解説しています。
わかりやすく書くには、記者自身の「数字、財務、決算、業界」に対する理解が欠かせないので、主に社員が記者として書いているのが特徴です。
個人的には、「給与の高い企業、低い企業」「銀行危険度ランキング」「倒産危険度ランキング」などの特集企画は、よくぞここまでデータ収集から分析までをわかりやすく記事にしている、と、いつも感心して読んでいます。
週刊東洋経済
1895年に創刊された100年以上の歴史のある週刊ビジネス誌です。会社四季報などを発行している東洋経済新報社が発行元です。比較的、上場企業報道が多い印象があります。
為替情報からエンターテイメントまで幅広く取り上げ、広い視点で市場を読み解くことができる媒体です。株式投資系・企業分析のテーマも多く紹介されています。
週刊エコノミスト
1923年に創刊。毎日新聞社が創刊したビジネス誌です。
(現在は、毎日新聞社の分社によって毎日新聞出版㈱に移管されました。)
タイトルの通り、マーケットや実体経済について独自の報道をしています。
金融経済をグローバルな視点で分析した記事や資産運用関連の情報も豊富に掲載されています。
中小・スタートアップでも報道のチャンスあり!
こういった媒体での取材獲得は難易度が高く、また大手企業中心に報道されている印象で、
自社を取り上げてもらえるチャンスがないと思っている方も多いのではないでしょうか。
実はそうでもないんですね。
新聞や他のメディア同様にしっかりと媒体調査をされていれば、必ずチャンスはあります。
それでは、攻め方のポイントをお教えしましょう。
中小・スタートアップ企業も各誌で掲載されている
まず、中小・スタートアップ企業が掲載されている特集やコーナーを探します。
各媒体には、新たな市場開拓をした企業や他社にはない独自の技術を持っている企業を紹介するコーナーがほぼ存在しているからです。
1冊購入して頂ければ、誰でも見つける事ができます。1冊で紹介基準が分からなければ、複数号購入し、紹介されている企業の傾向を読み取ってください。
特集から自社を絡めて情報提供
毎号の特集面では、
- ベンチャー、スタートアップ
- シェアリング
- 副業
- 5G
- 農業
- 人事
- HRテック
- ITO
- サブスク
- 人手不足
- テクノロジー
- できる英語
等、様々なトレンドで特集が組まれています。
自社に近い特集に目を通すと、特集記事内に取材者名や担当の記者・編集者名が確認できます。
その記者・編集者へ直接コンタクトをし、
・今後も同様のテーマでの企画の可能性があるか
・特集で紹介されている他に自社で関係した取組みや事業予定
について情報提供をします。
担当者へコンタクトをとる時には必ず、
「〇号の特集を見て、この記事は大変参考になった。」
といった感想も忘れずに伝えて下さい。
私は必ず担当の方に伝えています。
担当の方もこの話をすると、打ち解けて話ができるケースが多いからです。
広報担当者であると同時に、自身がその媒体の読者であるということを伝えましょう。
ビジネス誌もデジタルファーストに
ここ数年、メディアのデジタルファースト(Digital First)化が顕著になってきています。
週刊ビジネス誌や新聞でもこの取組みは進んでおり、誌面だけでなく「Webメディアも」作られるようになりました。
各メディアとも、誌面連動記事とサイトオリジナル記事を様々な分野で報道しています。
こちらも誌面同様に報道分析をしましょう。もちろん、情報提供も可能です。
経済誌とのメディアリレーションズのポイント
長きにわたり広報パーソンとして務めてきた経験上、ビジネス誌の担当の方と関係を築くうえで以下の点がポイントとなっています。
情報提供は1~2か月の先取りを
言うまでもありませんが、週刊誌の編集スケジュールから考えると、来週発表の情報では担当者は掲載どころか取材もできません。
早めに概要情報だけでも伝え、反応をみるのも一考です。
業界動向や競合他社にも精通したPRパーソンに
週刊ビジネス誌の担当者は、新聞・経済部同様に業界別に担当しています。
また、新聞に比べると長くその業界を担当されている方が多い印象です。
大・中・小の特集企画から毎号のコーナーまで幅広く担当し、担当する業界の企業情報は幅広く、また深く知りたいという傾向があります。
業界の情報に通じたPRパーソンになると、記者が企画のヒントを探しているときや取材先に困ったときに
「業界のトレンドは?」「市場全体の今後の見通しは?」「自社技術と関連した技術を持っている企業は?」と先方から連絡を頂く事も。
編集会議での企画提案や取材先調査、スクープ取材等、
いざという時に力になると感謝もされ、良い関係を築いていくことができます。
長い方ですと、編集長を経て別の部署に異動されても30年超えの方や副編集長を経て、現在はフリーランスとして活躍され、私のクライアントの書籍執筆を担当していただくなど、仕事でもお付き合いさせて頂いています。
編集スケジュールを知り タイミング良くコンタクトを
週刊誌の場合、週初めに編集会議があり、社内や自分のデスクにいる確率が高くなります。
なので、連絡をとる時は、極力このタイミングを意識してコンタクトしています。
週末は、取材の追込み・原稿締切と多忙の時期となる事から、意識的に避けています。