スタートアップのためのPR会社
株式会社ベンチャー広報
代表取締役の野澤直人です。
「現代社会はVUCAワールドだ」とよくいわれます。
このVUCAワールドについて思考を巡らし、私の専門領域である広報PRに照らし合わせてみると、広報PRはVUCA的な要素を多分に含んでいることに気づきました。
今回は、VUCAワールドと広報PRついて、私の考えを書いてみようと思います。
VUCAワールドに本格的に突入した現代
VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つのキーワードの頭文字から取った言葉です。簡単に言えば、不確実性が高い現代を象徴する言葉で、予測不能な世の中であることを意味しています。
この言葉が世間で使われるようになったのは、2016年、WEF世界経済フォーラム(ダボス会議)で取り上げられたのがきっかけだそうです。それから3年が経った2019年の現在は、本格的にVUCAの時代に突入したタイミングだと言えるでしょう。
広報PRの特徴はまさにVUCAそのもの
そんなVUCAの時代に広報PRについて考えてみると、広報PRはまさにVUCAそのものだと思います。
まず、広報PRは不確実性が高いとよくいわれます。
広報担当者は報道を獲得するためにメディアにコンタクトしていくのですが、その行動が確実に報道につながるという保証はどこにもありません。
報道してもらえるかわからない上に、仮に報道されたとしてもどのような報道になるかもわからないのです。もちろんネガティブな報道にならないよう最低限のコントロールはできますが、広告のように文言を指示し、完全にコントロールすることはできません。
また、変動性が高いのも広報PRの特徴です。
新聞、雑誌、テレビなど、どの媒体でどう報道されるかによって効果は大きく変わります。
テレビ番組での効果的な報道によって自社サーバーが落ちるほどの反響があることもあれば、新聞やWEB媒体で取り上げられても直接的な反響があまりないことも。報道による効果や影響の変動性が極めて高いのです。
さらに、広報PRの成功要因は複合的で狙った通りにできるものではなく、複雑で曖昧な要素を多分に含んでいます。こうしてみると、広報PRはまさにVUCAそのものだと思うのです。
VUCA時代における広告的手法の難しさ
ここからは、広報PRとよく混同されがちな広告と比較して考えてみます。
広報PRがまさにVUCA的である一方、広告は相対的に確実性の高い施策です。確実性が高いからこそ、効果測定ができて費用対効果を測れるのですが、広報PRは費用対効果を測ることが難しい。ですから、広告がもつ世界観と、広報PRの世界観は全く違います。
20世紀は、広告的手法が盛んであり有効でした。しかしながら、本格的にVUCAに突入した現代においては広告が持つ世界観は崩壊しつつあり、従来型の広告的手法は限界にきているのではないかと私は思うのです。
広告は確実に効果を出せることが価値であり、それゆえ重宝されてきましたが、そもそもそれは、未来が予測しやすかったからです。21世紀のVUCAワールドにおいては、未来を予測することはできません。予測できない時代においては広告が以前よりも有効に働かなくなるのは必然ではないでしょうか。
VUCA時代にはVUCAに合ったマーケティング手法を
20世紀は大量生産、大量消費の時代であり、広告の時代だったと言えますが、この21世紀は、広告というよりも広報PRの時代になってきていると感じます。
実際、20世紀は広告が重視された一方で、広報PRは重視されておらず、評価もされていませんでした。その理由は、効果の程が不確実だからです。費用対効果が計れないものに対してはお金は出せないという考えがあったのです。
しかしながら、今はVUCAワールドです。私は、VUCAな時代にはVUCA的手法の方が親和性が高いと考えています。つまり、これからは広報PRの時代になるのではないかと思うのです。
スタートアップ企業は、大企業に比べてよりVUCAな環境でビジネスをしています。そのため、広報PRの重要性がより高くなるのは当然でしょう。
次回は、VUCAワールドでビジネスを成功させるのに必要な要件について考えてみたいと思います。